目次

  1. 東洋医学とは
  2. 気の概念
  3. 天人合一説
  4. 感応場としての人体
  5. 陰陽論
  6. 虚実論
  7. 気血水とは
  8. 五行とは
  9. 経絡とは

東洋医学とは

 東洋医学は中国の春秋戦国の末期に体系ずけられ、漢字代に発達したために、漢方医学とも言われています。 
 東洋医学は自然哲学の思想を基礎にした実践的医学で、治療医学として発展してきました。
 その基礎になったものは臨床の積み重ねで、その理論は陰陽五行説などの自然哲学でした。
気の概念
 気と言うと何か漠然としてつかみどころのない概念のように思われます。
 しかし全ての物質は細分化して行くと分子になり、原子になります。更に
この原子を二つの異なる原子に分裂させると、陽子中性子が発生します。
 核エネルギーです。 つまり全ての物質はエネルギーと言う訳です。
 宇宙エネルギーと呼んで
いる人もいます。 このエネルギーを漢方では広義で「気」と言っています。
 東洋思想では、天地万物が生じる以前の未分の気が混然とした状態を太極(たいきょく)と
言います。
この太極は上で述べたエネルギーが凝集した状態と考えられます。 
つまり気とはこのエネルギーなのです。

言い換えれば、 宇宙物理学で言う「ビックバーン」の起こる以前の混沌とした高エネルギーの凝集した常態を
漢方は広義で「気」と言っています。
 この気つまり宇宙の大気と人体の元気とを同じものとしたのが、古代では天人合一説です。

天人合一説
東洋思想に措いてこの説は無くてはならない考え方の一つです。 人体の形と機能が、
天地自然と相応しているという思想です。
 「自然(外界)を大宇宙、人体(内界)を小宇宙とし、自然界の出来事も人体の生理病理
疾病の発生なども同じ法則で説明出来るものと考えました。
 つまり人体は自然の一部である故に不可分な関係にある。 従って人体は自然界の変化の
刺激を受け環境により生かされて密接に関わり合いながら一つの生命体として存在しています。」と
説いているのが天人合一説です。

感応場としての人体
 山田慶児氏はその著書「中国医学は如何につくられたか」の中で気の概念について以下の様に
述べています。
 生理学の基礎になる概念は気である。 気と言う言葉は広い意味と限定された意味があり
この気の意味を理解することが即ち生理学を理解することに通じる。
 気の理論によれば天地の間(宇宙)とは気が充満しており万物は気から出来ている。人も
又宇宙の一部であり、気の凝集したものである。 気とは連続的な流体であり、気は発散して
希薄になった時は気体、凝集して濃密になると液体、更に濃密になると固体という3種類の
状態になる。
 水が蒸気になったり、凍ったりすることを想えば理解しやすい。
 凝集と発散を通して起こる気体と液体と固体との間の状態の変化が気の運動の基本的な姿で
ある。
 人体ではそれを構成する気と外から摂取する気即ち空気や飲食物の間で絶えず3体間の
変化が、起こっている。 
 摂取した気はこのように一部は身体を構成する気となり、また一部は身体を構成していた気の
一部と共に排出される。
 呼吸・消化・循環・排泄といった生理現象も突き詰めれば気の運動にたどり着く。 気は
流体であるから、波として伝わる。
 気の充満する空間は一種の「場」と考えてよい。 気の「場」の中を波が伝わる。 その
現象が感応である。
 感応とは働きかけが有れば、必ずそれに対する反応が有る。
 一般に動くと言う作用は全て働きかけとして作用する。 働きかける時は必ず反応が有る。
  反応するものは働きかけとして作用し、再びそれに対する反応が生じる。 気の運動に終わりが
ない理由である。 感応の無限連鎖反応系と言える。
 この事は 池の中に石を投げ入れた時波紋が拡がり岩や岸にぶつかり返す波となる情景を
想像すれば理解しやすい。
つまり部分と部分、部分と全体が絶えず響きあい秩序を作り出している感応場が気の世界
である。人体もまたこの感応場である。 大宇宙と小宇宙間つまり天地人の間には当然この
感応場が存在する。
季節の変化に人の気が反応する所以である。

 以上述べてきた気は連続的な流体であり、凝集し発散するものであり、限定されていない
広い意味での気であった。 これに様々な限定が加わり初めて具体的なものとなり、生理学の
領域に入って来る。
 中国哲学では一般に手でつかめない流動的なものを「気」、手でつかめる形のあるものを
「質」と呼ぶ。
霊枢経脈第十の解説
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