目次
経絡の概念
一般に中国医学の診断と治療の基礎となっているのは、三陰(少陰 太陰 厥陰)三陽(少陽
陽明 太陽)、つまり12の経脈であります。
経脈は12の正経と8の奇経から構成されています。 12の正経は、それぞれ固有の
五臓六腑に帰属し、絡脈により連絡しあっています。
経脈とは縦の脈を意味し、体を縦に走る主要な脈をさします。 これに対し経脈から分かれて
横に走り別の経脈に連絡している支脈を絡脈と言い、二つを合わせて経絡と言います。
気血の関係は、「気《が陽で「血《が陰の性質を持っており、経絡の流れは血が経中を流れ、気は経の外
から血を動かしていると考えられています。
つまり「気《が流れている処が経絡で、この変化が診断と治療の対象となります。
経脈の理論によれば、それぞれの経脈は特定の複数の症候及び病気と結びついています。
12の経脈は全身を走り、臓腑を初め全ての器官に分布しています。 従って一つの経絡系が
覆う区域をその流域と呼ぶならば、全身は12の流域によって覆いつくされています。
ある流域に何か病変が現れると仮定すると、その時には流域を支配する経脈の脈拍に乱れが
生じます。
つまり、経絡が邪気に冒されると、拍動に乱れが生じ、その脈に属する症候が現れ、病が発生
するのです。
経絡説は生理学と病理学の基礎であり、脈論が中国医学の理論的核をなすものであります。
脈論と上可分に結びつきその一部を構成している脈証に基づく脈診方は拍動の波の形と強弱
を類型化した脈証であります。 そしてそれは人体の生理学的及び病理学的状態特に
目に見えない内部の状態を表現していると考えられるのです。
病変と脈の乱れはどちらか一方が原因で他方が結果と言うのではなく、両方が呼応し合う
関係にあります。
この関係は一般に感応と言われています。
脈の乱れと病が感応関係にあるならば、当然脈の乱れを正常にもどすことにより、病を
治すことが出来ると言う訳です。
経絡の流れについては、霊枢「営気(えいき)第十六《に記載されています。以下その
要約です。
営気(えいき)は全身を運行するもので、飲食物を摂取することが最も大切であると述べて
います。
飲食物は胃に入った後で脾の作用により精微なものになり、これが上行して肺に入り、体内
に流入し臓腑を栄養し、体表に散布して身体を維持します。 この中の最も精微なものが栄気で
経脈の中を行き、絶えず運行し、肉体を滋養します。 常に休むことなく循環しています。
営気の運行は
太陰(たいいん)肺経 に始まり→ 手の陽明(ようめい)大腸経 → 足の陽明胃経 →
太陰脾経(ひけい) → 手少陰心経(しょういんしんけい) → 手太陽小腸経 → 足の太陽膀胱経→ 足の少陰(しょういん)腎経に
→ 手の厥陰心包経(しんぽうけい) → 手の少陽三焦経 → 足の少陽(しょうよう)胆経 → 足の厥陰肝経(けついんかんけい) → 手の太陰肺経にもどる。
足の厥陰肝経の翅脈 → 督脈(とくみゃく) →任脈(にんみゃく) → 太陰肺経と循環します。
「霊枢:経脈第十《に書かれている流注はここをクリックして下さい。
経絡とは何?
最近経絡と言う言葉をよく耳にするようになりました。 しかし現代医学でも科学でもその
実態は解明出来ていません。なぜなら見えるものではないのです、実体は機能的なものですから
存在しても見えません。
経絡について述べている医学書に、鍼灸治療の聖書と言える最古の古典「霊枢(れいすう)《
があります。 「霊枢《とは「黄帝内経(こうてい だいきょう)《の「素問(そもん)《と
「霊枢《の二編の内の1つです。
この中の「経脈第十《に経絡の流注が書かれています。
経絡は生理学で言う、体表―内臓反射を表現したものでしょう。 従って経脈流注
は五臓六腑を調整出来る言い換えれば自律神経の制御システムと言えます。
菊地玄蔵著「経絡発明《に経絡についての記述が有ります。
「大地には川が流れている。その流れにより山の高さや川の下る方向を見る事が出来る。
人は小宇宙である。 従って経脈が有る。 経脈が有りこれを診ることで人の健康か否かを
知ることが出来る。しかしその経脈は皮膚の上に見ることは出来ない。 皮膚をめくっても現れ
ない。云々。《
上で述べたように経絡は人体に実際存在するものではありません。 人体が病気になった時
に初めて反応として現れて来ます。
つまり、気候の変化や肉体的疲労あるいは精神的ストレスなどにより気血(きけつ)の流れが
滞ると、病の症状として経絡上に異常が現れて来ます。
この反応の現れ方が実(じつ)の時は腫脹や熱などを伴った痛みとして現れますので、
直ぐに薬局や医療機関などに行き対処出来ます。
しかし虚(きょ)の時は麻痺や冷えなど痛みと違って、緊急を要しない為に、放置しがちに
なりますので病はゆっくりと進行し感じる事が少ないのです。 その為自律神経の失調やホル
モン異常がかなりすすんでから、身体の変調に気が付いて慌てるのです。
普段からこの経絡を調整している人は健康管理が出来ていて、免疫力が強く恒常性の高い身体
を維持しています。
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