目次

  1. 陰陽転化
  2. 陰陽可分
  3. 陰陽消長
陰陽説
東洋思想はて全世界の物事を分類する方法として、陰陽虚実及び五行を考えました。
  性質により大きく2分類したのが陰陽で、質量で分けたのが虚実です。また現象により分類
したのが、五行です。

 太極が動いて陽を生じ、静まって陰を生じました。従って総ての事物現象には陰と陽の
二面性が存在し、その相互間には対立と同時に統合も存在すると考えました。
 つまり陰陽とは天地自然の根本原理であり自然現象はそれに支配され.人間もまたこの
根本原理に従うものであると言う哲学思想を陰陽説と言います。
 気の運動や変化性質状態などを説明する生理学や病理学にとって欠かせないのは陰陽説と
五行説であります。
 陰と陽は二つの対立するものを現し、陰陽説は対立の原理です。 しかし互いに否定し合う
対立ではありません。 男と女のように互いに足りない部分を補う関係です。 ここから二つの
原理が派生して来ます。
 一つは陰陽の結合により万物が生じるという生成の原理です。 これは人や動物の世界に
ついての日常的な観察に基づいており、それを全てのものにまで拡大し一般化したものです。
もう一つは陰陽が交代する、交互に現れて来るという循環的な交代の原理です。 昼夜 寒暑
四季の交代といった日常的な現象を思い浮べて頂ければ分かりやすいでしょう。 医学理論に
とって重要なものはこの後の場合です
 この二つ目の理論は三つに分けることが出来ます。
上で述べたように、自然現象はある法則に基づいて運行しています。 そして人もまたこの
法則に従っています。 これを東洋医学に応用しているのです。陰陽は一方に
偏らないように相互に制約し合っています。 しかしこの相互間のバランスが崩れると、
つまり一方が強くなると一方が弱くなることにより、陰陽のバランスが崩れた場合に異常が
発生するのです。
この現象を次の3つの法則に設定したことで臨床の上で意義を持ってきたのです。

陰陽の分類
(1) 陰陽転化(陰陽循環)
(2) 陰陽可分(陰陽相互)
(3) 陰陽消長(陰陽拮抗)
陰陽転化

(1) 気は連続的な流体であり、流体の運動は上で述べたように波動です。 
 波には山と谷が有ります。 山が陽で谷が陰ですが、波動の山はやがて谷に変化し、谷は山に
変わります。 同じ視点の基で、波は上昇と下降を繰り返しています。 上昇する波は陽
下降する波は陰です。 上昇が極点に達すると下降し始めます。
 東洋医学の理論に「陽極まれば陰になり、陰極まれば陽になる」と言う言葉が有りますが
これが循環的な交代の原理です。 陰陽転化(陰陽循環)といいます。

陰陽可分

 (2) 陽は対立するものと上で述べましたが、波について言うと、ある地点において上に
有るものは陽、下に有るものは陰です。 運動について言えば上昇するものは陽であり、
下降するものは陰ですが、同じものが陽になったり陰になったりします。
 つまり陰と陽の比較は相対的な関係です。 従って比較する相手により同じものでありながら
陰陽が逆転することがあります。
これを陰陽可分(陰陽相互)といいます。
つまり、 陰陽は純粋な形で存在するのではなく、全ての事象の中には陰と陽が存在しています。
従って、事物は比較される対象物により、何処までも陰陽に分けられます。
 素問「金匱眞言論篇(きんきしんげんろん)第四」には、臓腑の陰陽が述べられています。

 人体でいえば、臓は陰で腑は陽でありますが、臓はさらに陰陽にわけられます
 例えば五臓を考えてみます。横隔膜の上は陽であり、下は陰であります。心は上に位置し
肺と比較すると陽になりますから「陽中の陽」と言われています。従って肺は「陽中の陰」と
なります。
 同様に、陰である横隔膜の下に位置する肝は腎に対し陽にあたる為「陰中の陽」となり、
腎は「陰中の陰」となります。

陰陽消長

(3) 陰陽消長(陰陽拮抗)とは陰陽がお互いに反発し合い、自分が強くなれば、相手が
弱くなって行くことです。
 「陰虚せば陽実し、陽虚せば陰実す」と古典が謳っています。
シーソーのようなもので、バランスが維持されていれば健康です。しかしいったんバランスを
崩し、風邪等で陽が強くなると発熱で苦しみます。 また陰が強くなると新陳代謝が
低下して、四肢が冷えて不調を訴えたりします。 これを放置するとうつ状態におちいったり、
ひどくなるとうつ病になり、最悪の場合は自殺にまで発展することも起きます。
 内因の破れや外因の乱れなどで経絡に変動が現れると、陽は上ったまま下がらず、陰は
下がったまま上らず陰陽が交流出来ません。 従って上下の陰陽のバランスが崩れ、顔が
火照り、足が冷えるのです。 つまり上気と言う状態です。
 これは左右にも言えます。 左右の陰陽バランスが崩れると症状が左ばかりに現れたり、
あるいは右側だけに現れたりして、不快感を訴える人もいます。

これらの理論を治療に応用して行くのが東洋医学です。

自然界の二つの事物を比較すると一般的には
太陽 天 日なた 熱いもの 澄んだもの 軽いもの 速く動くもの 上に有るもの 
男が陽であり、
月 地 日陰 冷たいもの 濁ったもの 重いもの 遅く動くもの 下に有るもの 女が陰に
なります。
身体に当てはめると
上半身 体表 腑 衛気 気が陽であり、
下半身 体内 臓 営気 血が陰になります。
 上で述べたように陰陽は固定的に考えると間違います。
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