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虚実論 
虚実は東洋医学の診断で大変重要な概念の1つです。
虚実とは質量の過不足を意味し、緊張・弛緩状態をもさしており、全身的にも局所的にも
用いられます。
虚とは邪気が体内に停滞し、精気が衰えている状態で、実は邪気が体内に充満し、精気もこれに
対抗し得るだけ十分に有る状態です。
分かりやすく言えば
虚とは中がうつろで、力が弱く気が少ない状態であり、
実とは中がいっぱいで充実し、力が有る、気が満ち溢れている状態を言います。
虚実を対比すると

 虚
(1) 元気ない。弱々しくて痩せている。精気衰弱。体力減退。
(2) 邪が少ない、邪気が弱い。抵抗力減退。虚弱。
(3) 熱が低い。病気の症状は静かである。手足が冷えている。
 実
(1) 元気ある。力強く壮健で肥満である。精気充実。体力旺盛。
(2) 邪が多い、邪気が盛んである。抵抗力旺盛。強壮。
(3) 熱が高い。病気の症状は盛んである。手足までが火照っている。

これらの虚実を比較すると(1)では実の人は元気で、虚の人はいかにも病気らしく思えます。
(2)を邪気の面から考えると実の人が病気に深く侵されている感じで、虚の人のほうが良いように思えます。
(1)と(2)は相反するように思えます。これらは何を意味するのでしょうか。
答えは(3)にあるように、虚実共に病で邪気に侵された時の反応の強弱を表現しています。
つまり東洋医学では虚実共に病なのです。
精気が弱く少ないと、邪気も弱くなり、激しく反応しないかわりに、弱い邪気が残ります。
例えば風邪の場合を考えると、何時までも症状が引きません。
風邪の症状が中々とれないのは、身体が虚の状態つまり疲労が蓄積しているせいかもしれません。
風邪は熱が出たほうが治り易いと言います。邪気が盛んであれば精気も盛んなためです。
したがって子供の風邪は40度近い熱がでますが翌日にはケロッとして回復していることが多いのです。
一方老人の風は熱がないのに咳が治まらないことがあります。病院で検査すると
肺炎を起こしていたと、言った例は少なくありません。
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