群発性様の頭痛
患者:
60台の女性。
主訴:
二日前から、突然左の眼の奥が非常に痛み出し、その痛みのせいか、嘔吐して食欲がない。
既往歴:
3年前に、同じような目の奥に痛みを起こしたことがある。
しかし、その時は今回ほど痛みは強くなく、嘔吐感もなかった。
所見:
身熱有り。痛みのせいか否かは不明。
全身の過緊張があるが、「膀胱経」に記述されているような目の痛み以外の症状はないとの事。
脈診:
心実腎虚の77難型。
治療後、身熱は解消し、嘔吐感はなくなったが、目の痛みはあまり減少しなかった。

二日目に再治療
主訴:
目の奥の痛みが、眼窩の周辺に変化していた。
食欲はないが、嘔吐感はない。
脈診:
腎実脾虚の77難型。
治療後、痛みが少し楽になったとの由。

翌日念のために治療を行った。
主訴:
目の痛みはまだ少し残っていたが、耐えられる程度との事でした。
脈診:
肝実脾虚の81難型。
治療後、残っていた目の周りの痛みは解消した。

これで治療は終わりだろうと思っていました。

2回目の眼の痛み
1週間後に今度は反対側の右の眼の奥に痛みを発症したとの事でした。
目の痛みと同時に吐き気を覚え、嘔吐したとの事でした。
食欲が全くなく、痛みは激しく耐えがたいとの事でした。
取り合えず病院で痛み止めと吐き気止めの注射を行ってもらいました。
翌日治療を行いました。
主訴:
吐き気は収まっていましたが、痛みは耐えられる程度でしたがまだ残っていました。
痛みが再発した時のために処方された鎮痛剤は、胃に副作用があるのでなるべく
避けるように指示され、そのため、服用していないとの事でした。
脈診:
腎実脾虚の77難型でした。
治療後、残って目の痛みは解消しました。


3回目の眼の痛み
再び左の眼の奥に痛みを覚えたのは、最後の治療後2週間後でした。
痛みと同時に食欲が減退し吐き気を覚えました。
症状は上述した症状を繰り返し、3回の治療で改善しました。


4回目の眼の痛み
最後の治療から、42日経った時、再び左の眼の周りに痛みを感じました。
その二日後突然目の奥に痛みを生じ、同時に嘔吐しました。
脈診は腎実脾虚の77難型でした。
頭痛と嘔吐は2回の治療でかいしょうしました。
目の痛みは「2回目」の時を最高に、徐々に軽減して行きましたが、それでも
かなりの苦痛を患者さんに与えました。
しかし幸いなことは、比較的治療の効き目が良かったために短い期間で改善できたことです。
ただ心配はこの後、再び再発するか否かが不明な点です。

解説:
最初の目の痛みは、眼球の奥に始まり、同時に嘔吐しました。
食欲が全くなく、食事をすると、嘔吐しました。
治療後の痛みは解消しましたが、再び目の劇痛が始まり、繰り返す症状は「群発性頭痛」を
連想させられました。
「2回目の眼の痛み」が本震とすれば、後の痛みは余震のように思えるのは考えすぎでしょうか?
頭痛外来で診断を受けたわけではないので、確定診断はありません。

膀胱経の是動病は、踝厥と言い、踝を冷やしたために生じた病です。
従って、この患者さんの疾病を膀胱経の病と仮定すると、膀胱経を補法すれば良いと、
言うことになります。
つまり、腎実脾虚の77難型の治療がこれを改善したのでしょう。
同時に足の冷えを解消するためにお灸を行いました。
その後、4か月経った現在まで再発は有りません
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