医師は人を健康にするのが仕事ではない?
小説新潮3月号(2017年)を読んでいる時、衝撃的な文章に遭遇しました。
それは、「孤独な脳 馬鹿になれない私」と、言う天才的頭脳の持ち主である脳科学者医学博士
中野信子さんの連載エッセイです。
私が衝撃を受けた文章を以下に載せてみました。
「第5回 頭がおかしいい私」から抜粋。
中野信子さんの大学院生の時、同じ研究室にいた神経内科の医者が言った言葉です。
「神経内科とは病院の数ある科の中でも、まさに片頭痛の人に対して診断を下して処方箋を
書く医師たちがいる場所なのだ。
同じ研究室にいたと言うだけで、医師と患者と言う関係で接していたわけではないから彼も深く
考えずに言ったのだろうと、言うことは理解できるけれど」と、述べ以下のようにつづきます。
「彼はこんなふうに言ったと、記憶している。
片頭痛持ちの女って何か頭良さそうでいいよね。
私が頭痛に襲われているタイミングで言って来たりする。
医師のくせに病気が羨ましいとはどういうことだよと、心の中で毒ついたことを覚えている。」
そして、医師についての彼女の見解を以下のように述べています。
「そもそも医師というものは、人を健康にするのが仕事ではないのだ。
彼らの仕事は人の病を扱うこと。病院にもよるのだろうが、ある程度の水準以上の大学病院に
勤めている医師ならなおさら、病のメカニズムの研究にその力の大半をそそいでいると、
言ってもいいかもしれない。
その次に患者の当座の痛みを何とかすると言うミッションが来る。
病のままでもしかたないが、その痛みや苦しみを取り除くと、言う作業だ
健康にすると、言うことははなから遠いい目標のように考えられている節がある。
それが仕事なのだから、病は飯の種と、思えるくらいの人のほうが適性があるわけだ。
こんなことを書いたら臨床にたずさわる医師の皆さんからお叱りを受けそうだがそう言う
人がやはり出世して成功して行くと言う傾向がある事は否めない。」
私はこの文章を読んで納得し、同時に気持ちが暗くなるのを抑えることができませんでした。
ベーチェット病を患っている患者さんは、イムランを服用すると下痢と食欲不振が始まり
ほとんど寝たきりになってしまいました。
そこで服用を止めて、鍼で調整を行なうことにしました。
詳しくは以下をクリックして下さい。
ベーチェット病によるアフター性口内炎その4
体調が1年以上安定的に経過した頃、毎月1回の割合でT大学附属病院に通って診察と血液及び
尿検査を行い薬を処方してもらっている患者さんに
「そろそろイムランとステロイドの処方を停止してもらったら」と、提案しました。
ところが、医者の返事は以下のような答えでした。
「これらの薬を止めるなら診察する必要はないので、病院には来る必要はありません。」
中野信子さんの言葉を借りればこの意舎は自分の研究だけに全力を傾けているのでしょう。
患者の苦痛や悩みは二の次なんでしょうね。
難病患者の皆さんへもう一度提案します。
「ステロイドや免疫抑制剤は出来る限り早く停止したほうが賢明です。」
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