治療家のつぶやき15
治療院を初めて20年以上が経ちました。
「難経」の13難には医者の技術の上中下が述べています。
それによると、
「診断法として顔色、脈、尺部(前腕内側の皮膚)の状態の3種類が有ります。これら3種類の診断が出来る医者を上工と言い、2種類では中工、1種類では下工とされています。
上工は十の内九を、中工は八を、下工は六を治す者」と、有ります。
この数は何を意味しているのだろうかと思い続けて来ました。
例えば上工について考えると以下のようになります。
@ 10人の患者のうち9人を治すことができる。
A 病の9割を治すことができる。
@の場合は当然ですが、不治の病が有ることを意味しています。
Aの場合は病は完全には治せないことを意味しています。
「@とAはどちらが適切であろうか、あるいは@とAの両方の意味が有るのであろうか」と、思い続けています。
私の20年間の鍼治療を顧みると、以下のような稚拙な治療を繰り返していました。
(1) 診断(証)が不明確なために思い通りに経絡治療ができませんでした。
(2)その為に、局所治療に走りがちになりました。
(3)したがって、次第に深鍼になって行きました。
これでは患者さんに満足してもらう治療は当然ですができませんでした。
それでも有りがたいことに何人かの患者さんが私を見捨てずに今の私を育ててくれました。
それはともかく、これらのことを考察すれば、下手は下手なりに患者さんの苦痛の幾分かを取り除けたものと解釈できます。
つまり下手な鍼師でも6割の苦痛を除くことができるのでしょうか?
又上工と中工との違いが77難に書かれています。それによると
「上工は未病を治し、中工は今病んでいるところだけを治す者」と、あります。
上工が「未病を治す」とはどういう意味でしょうか?
続く
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