目次

  1. 治療方

線維筋痛症
 線維筋痛症は全身性の痛みに加え倦怠感、疲労感、睡眠障害、こわばり感、頭痛など多彩な
症状を伴う、中年女性に多い疾患です。
膠原病の初期にこのような症状をていすることが有るので、鑑別が必要とされています。
 1990年に発表されたアメリカリウマチ学会の分類基準によれば3ヶ月以上続く全身の
慢性的な痛みに加えて、他覚的所見として、18ヶ所の特定部位のうち11ヶ所以上の圧痛点が
有るとされています。
患者の90%以上が不眠症状で悩んでいると言われています。この不眠症と痛みによる
疲労感が患者に著しく困難な日常生活を強いています。

線維筋痛症の症状

首から肩にかけて及び上肢、膝から下腿にかけての痛みやしびれ感、腰背部の疼痛や
こわばり感、臀部から大腿部の痛みと張り感、眼の奥や口腔の痛み、頭痛関節と全身の
こわばり、疲労感、倦怠感、四肢の脱力、頻尿、下痢、月経困難、生理不順、
過敏性腸症候群などの機能性胃腸障害、微熱、頤神経、麻痺、筋力と運動
能力の低下、筋肉の激しい疲労、むずむず脚症候群などが挙げられます。
又、悪夢、焦燥感、不安感、抑うつなどの精神的症状やうつ症状、判断力、思考力の
著しい低下、痛みにより認知症のように記憶がなくなる深刻な症状を訴える患者も
あります。
足、手の先の冷感や灼熱感、ドライアイ、リンパ節の腫れと痛み、四肢こわばりと
だるさ、関節痛、レイノー現象、光線過敏、脱毛、シェーグレン症候群、自覚的な
関節の腫れなどの膠原病の症状を訴える患者さんもいます。乾燥症状も有意に
見られ、喉の渇き・声がれなどの症状も多くあります。
この病気は免疫異常がかかわっていると言われていますが診断できる検査方はありません。
つまり、血液検査、CTスキャンやMRIなどの検査では異常を発見できません。
従って現代医学では原因の分からない疾患ですので、治療方法は有りません。西洋医学の
矛盾と言える症例の一つです。
男性より女性が7倍と多く、中高年に発生率が高いと言われています。精神的及び身体的
ストレス、気候、環境によって疼痛箇所が移動したり、疼痛レベルが変化することも
あります。仮面うつ病、更年期障害、自律神経失調症、身体表現性障害などの疾患や、
単なる不定愁訴と誤診される場合も多く有ります。


治療方 東洋医学は広い視野に立って患者さんの全身を観察し、その疾患の発生原因を探り改善し、
身体の健康と監理を行う療法です。
そのため西洋医学が病気を治し、東洋医学は病人を治すと言われる所以です。
従って、本来治療は局所や短絡的なものではなく、本治法や経絡治療と言われている経絡の変動を
改善する全身的な治療で病を治すものです。
身体は罹患した箇所に何か所も鍼を刺したからと言って、一時的に痛みが取れても治るものではありま
せん。治療院を出て後、何十分もしないうちに痛みは再発し、又何度治療を受けても痛みは、
ほとんど改善しないでしょう。
経絡治療の鍼は痛みの箇所に刺鍼するものではありません。痛みを起こしている原因の
経絡の変動を探し、それを改善できる経穴(つぼ)に鍼を行うものです。
従って、十何箇所以上の痛む部位の有る線維筋痛症のような疾患でも数か所の鍼を刺すだけですみます。
経絡治療では、勿論1、2回程度の治療で解消はできませんが、治療を行う度に徐々に
薄紙を剥ぐように痛みが解消して行きます。

線維筋痛症で来院した患者さんに以前受けた治療院の鍼の方法を尋ねると、全身の痛みの有る
箇所にくまなく鍼を打たれたとの事でした。
これでは治すどころか更に悪くなり、耐えられません。
既に局所治療で全身にくまなく鍼を刺されてひどいめに会った人は鍼に対して恐怖感を
抱かれているかもしれませんが、もう一度経絡治療を試みるのも決して無駄ではありません。
「良かった。」と、思える治療家に会えるかもしれません。
症例集の項目にもどる このページのトップへ戻る indexに戻る