ばね指の経絡治療
始めに
ばね指は鍼灸の勉強を始めた頃に、治療の困難な症状の一つと、教えられました。
事実この症状を主訴として来院した患者さんは、治療院を開業30年の今に至るまで一人もいません。
30年以上前になりますが、まだ鍼灸学校の学生だった頃、ばね指の手術を行い、その後遺症で悩んでいた女性に出会ったことがあります。
彼女の手術痕は、口では表現できない程酷いものでした。
これについて詳しくは以下のリンクをクリックして下さい。
気功についてその2
実は私自身が、ばね指になったのです。
ラジオの番組名は忘れましたが、より長生きをするには、下肢の筋トレかあるいは上肢のそれかと、言う質問で、後者の筋トレが有効との事を耳にして、
当院は鍼灸の施術のみを行って来たたねに、マッサージは長い間行っていないことも原因でもありますが、握力の減弱を感じていました。
そこで、以前購入していた「グリップ」を持ち出して握力の筋トレを始めました。
2週間経った頃、しだいに握力が増して来ました。そこで更に努力を重ねました。
ところが1か月ほど経ったある日、右の母子に異変が起こりました。
第1関節が曲がったまま左手を用いないと基に戻らないのです。親指を曲げると痛みも生じていました。
痛みは第1関節、第2関節そして母指球にに及び、鍼を持つことが出来ないのではと、不安でした。
幸いなことに、母子をテープで固定すると、残りの4本の指を母子側に寄せれば鍼を持つことが出来ました。
ばね指についてフリー百科事典(Wikipedia)より抜粋
ばね指とは、手の指におきる腱鞘炎の一種。弾撥指(だんばつし)とも称される。
症状
手の指を曲げたり伸ばしたりする際に抵抗がありばね仕掛けのように動く症状をいい、
曲げ伸ばしの際、痛みを感じることがある。
指の曲げ伸ばしの際の動きが悪かったり痛んだりすることが多い疾患です。
手のひら側の指のつけ根の腱の通り道に、腱鞘と呼ばれるものがあります。これは、腱が
浮き上がらないようにするためのベルトのような役割をしており、指をスムーズに動かせる
構造になっています。この腱鞘と腱の間で炎症が起こると、指の動きのスムーズさが失われ
ます。いわゆる指の腱鞘炎のような状態です。「ばね指」と呼ばれる所以は、スムーズさが
失われた部分を通過した時に急に指が伸びる「ばね現象」が起こることがあるためです。ばね指の
症状としては、「折り曲げた指を、もう片方の手で伸ばさないと伸ばしにくくなる」、「指に腫脹や
熱感、押さえた時や動かしたときに痛みが出現する」などがあります。最初のうちは手のひら側に痛みが
出るだけです。症状が進んでいくと、「ばね現象」が出現するようになり、さらに進むと自力では指の
曲げ伸ばしがまったくできなくなり、日常生活にも影響が出てくるようになります。
原因
手首の伸筋側には伸筋支帯という伸筋が通る線維鞘が形成されている。伸筋支帯は6つの管に
分かれるが、短母指伸筋と長母指伸筋が通る第1管の部分は反復的に圧迫を受けやすく、それに
より炎症が生じる。
治療
まず、副腎皮質ホルモンを発症している腱鞘に直接注射する方法があり、慢性化した場合は、腱鞘を切開する手術が行われる場合がある。
更年期や妊娠・出産後の女性に多くみられます。この時期の女性は加齢によって筋力低下や
骨粗鬆症、閉経などによってホルモンバランスが変化します。腱や腱鞘が弱くなることで
傷みやすくなり、ばね指となりやすいのです。また、スポーツを行っている人や主婦など、
手を使う機会が多い人もばね指になりやすい傾向にあります。症状は親指や中指に多く
みられますが、他の指にもみられることがあります。
治療には大きく分けて「保存療法」と「手術療法」の2つがありますが、基本的には保存療法を選択することが多いです。
@保存療法
ばね指は、指を多く使うことでなりやすいため、安静にさせることを第一に考えて治療を行って
いきます。実際は、普段から指を酷使している人がなりやすいこともあり、意識的に安静にさせる
ことは難しいのが現状です。
上記した安静が難しい方には、装具療法が行われることがあります。ただし、普段使っている
指を強制的に動かせないようにするわけですから、日常生活において不便になってしまう
ことがあります。また、装着してもすぐに治るわけではないため、必然的に長い間装具を
着けることになるため、特に生活に影響が出やすくなります。
ステロイド療法
炎症が起こっているために痛みが出現しており、炎症を抑えるためのステロイド注射を行います。
安静や装具療法も含めて行うことで多くの方に効果が出やすいのですが、その反面繰り返し行うと
副作用も出てくるため、頻回に行うことが出来ません。
鍼によるばね指の経絡治療
上で述べたように、無理をしすぎたために自らばね指を生じさせました。
母指球を触ると少し熱感がありました。
脈診をすると、証は脾実肝虚の75難型の炎症症状でした。
1週間ほぼ同じ証で治療を行いましたが、痛みは改善しません。
近所のクリニックに行き、事情を話し、鎮痛剤を処方してもらいました。
先生曰く「この薬が効かないとステロイドの注射になります。」との事。
鎮痛剤はまったく効果はありませんでした。しかしステロイドは嫌なので、ばね指が解消できるのにどのくらい時間がかかるのかを
鍼治療を実宣することにしました。
半年くらい経った頃、81難型の肺実肝虚の証で治療を行った後、痛みがスーッと消えました。
その時解消できたと、思いましたが、三日後に再び痛みが生じ、改めてばね指の治療の困難さを自覚させられました。
症状を確かめると、最初は親指を曲げても、反らしても痛みを生じていましたが、痛みが一時解消
できた頃から、反らす時の痛みは解消しました。そこで親指が曲がらないように、親指の爪から
外踝にかけて(伸縮しないテープで)テーピングを行いました。
このテーピングの効果と鍼治療の効果とが相まって徐々に痛みは改善の方向に進んでいきました。
結局約8か月ほどかかって前回しましたが、ばね指の経絡治療は、時間がかかり過ぎ
つまり治療にかかる費用が大変だろうと想像し、ばね指にかからないよう注意をするしか
方法はないだろうとの結論を下しました。
一つだけお勧めできるのは、手術は避けたほうが良いでしょう。ステロイドの注射は
1度だけは良しとしてもなるべく避け、テーピングの効果が甚大でしたので、これを行いジックリ保存療法を行って下さい。時間はかかりますが治ります。
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