目次

  1. 始めに
  2. 症例1
始めに
アトピー性皮膚炎
ウィキペディア(Wikipedia)より抜粋。
アトピー性皮膚炎の年代別の有病率については、以下の通りです。
65%が1歳までに、90%が5歳までに発症します。
しかし、8〜9歳頃で50%、16歳には全体の約90%が自然寛解したとの報告があります。
したがって、年代が上がるにつれて有病率は減少し、年齢とともに寛解していく可能性が高いと考えられます。
ただし、重症の割合は年齢が高いほど増える傾向があり、軽快に至らなかったものが、
そのまま成人になって重症例として残っているものと考えられます。
近年は、思春期・成人期になっても軽快しない例や、成人発症例が増加していることが
報告されています。

原因:
日本皮膚科学会ガイドラインでは、アトピー性皮膚炎は表皮、なかでも角層の異常に起因する
皮膚の乾燥とバリアー機能異常という皮膚の生理学的異常を伴い、多彩な非特異的刺激反応および特異的アレルギー反応が関与して生じます。

アトピー素因として、家族歴・既往歴が考えられます。
気管支喘息、アレルギー性鼻炎・結膜炎、アトピー性皮膚炎のうちいずれか、あるいは複数の
疾患を持っている人。
免疫グロブリンE(IgE)が高値の人。
遺伝要因は約50%だと推定されているが、先進国では21世紀までに過去30年にわたり
小児アトピー性疾患(喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻結膜炎)が増加して
きており、そうした有病率の増加は遺伝要因からは説明しがたいし、実際にアトピー
性疾患にかかる子供の大半は遺伝的にリスクの高いグループに属しているということもない。
しかし、アレルギー性疾患とアトピー性疾患の関連は十分に証明されている。

遺伝的要因としては、遺伝子の解析により、マスト細胞、好酸球にIgE抗体を結合させる
レセプターや、サイトカインのうちアレルギーの炎症に関与するものの遺伝子が集中
している遺伝子座がアレルギーと関連していることが明らかになっています。
日本人のアトピー性皮膚炎患者の約3割弱にフィラグリン遺伝子変異がみられる。フィラグリンは
角層のバリア機能の形成や水分保持といった機能の蛋白である。フィラグリン遺伝子変異を有
していると、2歳未満の若年発症が多い、より重症になりやすい、成長に伴い寛解しないといった傾向がみられる。
皮膚炎の症状:
乳児湿疹と混同される場合もある。その炎症は頭部に始まり、次第に顔面に及ぶ。そして
体幹、手足に下降状に広がる。
幼児期-学童期には、肘窩や膝窩などの関節の屈側に病変が生じ易く、耳介の下部が裂けるような症状(耳切れ)を呈する。
思春期以後は、広範囲にわたり乾いた慢性湿疹の症状を呈する。
眉毛の外側が薄くなる(ヘルトゲ兆候)。
発赤した皮膚をなぞると、しばらくしてなぞったあとが白くなる(白色皮膚描記)。
乾燥して表面が白い粉を吹いたようになり、強い痒みを伴う。
赤い湿疹、結節などができ、激しい痒みを伴う。痒疹を伴うこともある。
湿潤した局面から組織液が浸出することがある。
慢性化すると、鳥肌だったようにザラザラしたものができ、皮膚が次第に厚くなる。
しこりのあるイボ状の痒疹ができることがあり、この場合難治性である。イボになることもある。
思春期以降は、手指に症状が表れ易くなり、爪元から第二関節あたりが特に酷く荒れやすい。
児童期が湿潤型、思春期以降は乾燥型の皮膚炎を起こす。
湿潤型は主に首周りや肘膝関節裏、乾燥型は頭皮、額、肩、内腿、内腕に発症し易いのが特徴
である。また乾燥型に切り替わるとき、湿潤型の症状は軽快する傾向がある。
日本皮膚科学会の診断基準は、以下の3つの特徴があります。
1.かゆみを伴うもの。
2.特徴的な皮疹とその分布。
3.慢性・反復性の経過を伴うもの。
以上3つすべて当てはまるものをいいます。
詳しい説明は他の文献を参照して下さい。



症例1
初診 約30年前。
患者 初診時:40代、現在70代の女性。
身長: 145cm、 体重 :45kg 。
主訴: 腰痛。
理療歴なし。
病歴 アトピー性皮膚炎(小児性あとぴーが、軽快せず現在に至る)。
治療はほぼ2週間に1度の割合で7月7日2021年現在まで継続。現在年齢は70代。
主に健康管理を務めてきた。その間アトピー性皮膚炎はほとんど変化ありませんでした。
2021年4月15日の治療で、背部の切経中、アトピーの症状が解消しているのに気付き、患者さんに尋ねました。
「肌が随分きれいになりましたね?」と。
「ええ、そうなんです。今年の冬は初めて足の指に霜焼けが有りませんでした。足のガサガサした皮膚も随分きれいになって肘手の皮膚もあとぴーがほとんどなくなりました。鍼以外何もしていないんですけど・・・。」と、うれしそうに答えました。
 カルテを改めると昨年(2020年)9月17日から以下に記載した新しい治療法を行っていました。
「先ず虚する者の母を補い、その後實する者の子を瀉すべし。」。
詳しく調べると、新しい治療を行う前は、ほとんど肝虚脾実(69難方)の証で2陰経(陰谷、曲泉)を補う方法でした。
 新しい方法に替えた直後の2020年9がつ17日、10月1日は腎虚心実の証に変化していました。11月5日 、11月19日、12月3日 肝虚脾実、12月17日 腎虚心実で、全て69難方でした。
2021年に入って1月7日から4月15日のアトピーが解消した日まで、証は肝虚脾実の69難方で、移行現在7月22日まで同じく肝虚脾実の69難方が続いています。
考察
何故アトピー性皮膚炎が改善したのかは不明です。
 「先ず虚する者の母を補い、その後實する者の子を瀉すべし。」の治療を行う前後の証を見ると、
肝虚脾実のケースが多く、この証に対して以前の取穴は腎経の陰谷と肝経の曲泉の補方でした。
一方以後の取穴は、陰谷の補方と肺経の尺沢の瀉方です。
これら二通りの取穴で異なるのは、以前の治療では肝経の補方であり、以後のそれは肺経の瀉方です。
 この異なった取穴が、アトピー性皮膚炎の改善に関与したと、考え「五行色体表「を参考に考えました。
 肺は「五行色体表」の五主の中の皮膚に相当し、その結果皮膚が正常な状態に変化したのだろうと、結論しました。
(注) この証では肺経の瀉方は経渠ですが、尺沢に反応があり、ここに刺鍼しました。

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