接触鍼について




治療中初めての患者さんの中には「何も感じませんがこれで治るのですか」と、質問する人が
います。
私はこの質問に対して以下のように答えています。
「接触鍼で軽く体表に鍼先を穴に触れるだけなので痛みはありません。しかし経絡は体表を流れていて
深く鍼を入れると返って効果がないのです。」
しかし患者さんがこの解答に対してどのくらい理解できたかは疑問です。そこでもう少しましな答えを
考えてみました。
東洋医学では生体の基本要素として「気と血」という二つの要素を設定しています。最近はこの
二つの要素に「水」を加えています。
正常な生理的状態では 人体の気と血との調和は平衡に保たれています。そしてこの平衡状態が崩れた
時に病になります。
これら気と血はお互いに影響しあっています。
「気」は陽に属し清く、軽くて上昇し、反対に「血」は陰に属して濁り、重くて下降するものと
考えられています。
 病状は気は上り易く、のぼせや頭痛など上部の症状を表し易く、血は重く下腹部にお血(おけつ:
血液の循環障害)などを現します。
 全身には経脈が網目状に巡っています。この経脈の中は栄養のある血が流れています。しかし重くて
動けません。気は軽く軽快に動き、経脈のすぐ外側を流れています。栄養は有りませんが血を動かす
エネルギーを持っています。

経絡治療はこの気を動かすことです。気が動けば血流を改善することができます。気は体表を流れて
いますので軽く体表を鍼先で接触するだけで良いのです。したがって鍼を深く侵入させると経絡を突き抜け効果はありません。
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