治療家のつぶやき2


5年前に不妊症の治療で来院したNさんから電話があり、肩こりと胃の痛みで背中が痛むので
治療をして欲しいとの事でした。
彼女に対する不妊治療は週1回の約30回の施術でした。しかし効果なく治療は終わりました。
経絡治療の主眼は如何にして患者の腹部を柔らかくすることにあります。
腹部の硬結は交換神経の緊張状態を意味し、そのために血流が悪く身体の冷えを起します。
冷えは妊娠を困難にします。したがって腹部を柔らかくする事が結果として妊娠し易い体にします
しかし私の鍼は彼女の腹部を柔らかくすることができず施術は失敗に終わりました。
この失敗の原因を検証するために参考書を読んでいる時に「難経」の75難の治療法に辿りつき
ました。しかし参考書に書かれている状態例えば脈診において私が感じる脈診とどうしても一致
しませんでした。その理由を求めて原文の解釈に取り掛かりました。
その結論が私の75難の解説です。
彼女の問診と腹診の結果は5年前とほとんど変化していませんでした。しかしその脈診は虚証
ではなく実証の肺実心虚の75難がたでした。

治療後、彼女の腹部は嘘のように軟化しました。しかもたった1回の治療でした。
当時この治療方法を知っていたら不妊治療の結果はどうなっただろうと残念です。
その後すぐに彼女は離婚したとのことでした。
今私は当時の不手際が離婚原因の一つでなければ良いなと思いあがった願望をいだいています。
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