脾経の解説

目次

  1. 解説

書下し文
脾経
脾足の太陰の脉は.大指の端に起こり.指の内側白肉(はくにく)の際(きわ)を循(めぐ)り
@核骨(がいこつ)の後(しりえ)を過(よ)ぎり.内踝(ないか)の前廉に上り.A?内(たん
ない)に上り.脛骨(けいこつ)の後を循り.厥陰(けついん)の前に交わり出ず.B膝股(しつこ)の
内の前廉に上りて.腹に入り.脾に属し.胃を絡(まと)う.膈(かく)に上り.咽(のど)を挟み.舌本
(ぜつほん)に連なり.舌下(ぜつか)に散ず.
その支なる者は.復(また)胃より別れて膈に上り.心中(しんちゅう)に注ぐ.
(脾は足の太陰なり)是動(これどうずれば).則ち病舌本強(こわばり).食すれば則ち嘔(はきけ)し
胃?(いかん)痛み.腹(はら)脹(は)り.善(よく)噫(おくび)し.後(こう)と氣(き)とを
得(う)れば.則ち快然(かいぜん)と衰(おとろ)えるが如く.身體(しんたい)皆重し.是(これ)
脾を主として生じる所の病は.舌本痛み.體(からだ)動搖(どうよう)すること不能(あたわず).食
不下(くだらず).煩心(はんしん)し.心下(しんか)急痛(きゅうつう)し.溏(とう)?泄(かせつ)
水閉(すいへい).黄疸(おうだん).臥(ふする)こと不能(あたわず).強(しいて)立てば.股膝(こしつ)の
内腫れ厥(けつ)し.足の大指(だいし)不用(もちいられず).この諸病を為(な)し.盛なれば則ち之を寫し以下略

解説
脾の性質
 五行説で脾は土が配当されています。歴史的に五行説は四行説から始まったと言われています。
「 五行色態表」には東西南北はそれぞれ木金火水が配当されています。これらの中央に土を配置
したのが四行です。この土に配当されたのが土用です。つまり土用は各季節と交わっています。
この交わる季節の終わりの18日間が土用です。この内で最も重要なのが夏の後の土用で長夏と
呼ばれ、夏と秋の間に入れて五行となりました。
五行説の詳しい説明についてはここをクリックして下さい。
素問靈蘭祕典論第八には脾と胃について以下のように述べられています。
「脾胃は.倉廩(そうりん)の官(かん).五味(ごみ)出ず」
倉廩とは食糧を貯蔵する倉庫のこと、つまり五穀を入れる蔵です。脾胃は五穀を入れるたねに倉廩と
言います。
五味とは肝はここより酸味を取り、心はここより苦味を取り、脾はここより甘味を取り、
肺はここより辛を取り、腎はここより鹹を取る。
つまり脾は消化器系を意味しています。又五味とは栄養分であり、脾はこれら栄養を五臓にたいして
司る働きがあります。
五味の詳しい説明はここおクリックして下さい
脾の働き
1. 栄養を司る
2. 栄血のもとを作り出す
3. 肌肉(きにく)を司る
4. 四肢を司る(栄養を四肢に送ることにより、動かすことが出来る)
5. 乾燥を好み湿気を嫌う。脾胃は共に倉廩の官と言っていますが、この点が胃経と違います。つまり
胃は潤いを好み乾燥を嫌います。従って吐き気は脾の病ですが、嘔吐は胃経の病になります。
続く

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